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2013年7月30日第188号(復刊第6号)
幸手市南1丁目2区町内会の神社支援金支出で住民監査請求
信教の自由侵害し憲法違反と認定


 5月25日、幸手市監査委員(北村直人代表監査委員)は、地域振興交付金を受けた町内会の会計から神社に支援金を支出するのは、地域振興交付金交付要綱に反するだけでなく、信教の自由を定めた憲法20条と、公金を宗教団体や宗教活動へ支出することを禁じた憲法89条に抵触する、という監査結果を公表した。また、町内会は市の公金を受け取る以上、会計処理を明確にすべきだと言う見解を示し、市長に指導するよう勧告した。
 住民監査請求は、同市南1丁目2区在住の男性が、2区町内会の活動と会計処理に疑念を持ち提起した。
地域の自治会から支援金を受けている
上高野神社
 請求の対象は地方自治法で1年以内の規定があり、2011年度分に限定された。また地域振興交付金は南1丁目行政区に交付され、その中から2区町内会に分配されているため、監査委員は行政区と町内会の2団体を調査した。
 2011年度、南1丁目2区町内会が受け取った地域振興交付金は47,600円、予算では計上されず、決算で計上された。使途は監査委員の調査に「上高野地区体育祭に使用した」と報告している。
 2区町内会は、市の地域振興交付金の有無に関わらず、地元の上高野神社に町内会費から「支援金」を支出してきた。これは住民の多様な価値観を前提とした町内会・自治会活動に相応しくないことは、明確になっている。


住民監査請求の内容 (要旨)
 南1丁目2区町内会は、平成23年度予算で計上されていなかった地域振興交付金相当額(47,600円)が、同年度決算では収入に計上され、同額が区長(町内会長)手当てとして支出された。また、同年度に上高野神社への神社支援金31,000円が支出されている。
1.  同町内会の21・22年度の予算・決算に地域振興交付金が計上されていない。どのように使われたのか理解に苦しむ。この制度がスタートした20年度から同町内会の会計に入っていないと思われる。地域振興交付金交付要綱に違反しており、市長は返還を求めるべき。
2.  宗教法人である上高野神社への支援金を支出した町内会に、公金である地域振興交付金を交付することは、憲法20条(信教の自由)、憲法89条(宗教団体・活動への公金支出禁止)に抵触するので返還を求めるべき。改めなければ地域振興交付金を交付しないこと。

監査委員の監査結果(要旨)
 平成23年度の、南1丁目行政区から南1丁目2区町内会への分配金交付金は、使途に会計処理上の不適切さが認められるが、違反又は不当とは直ちには断定できず、南1丁目行政区への交付金の返還は認められない。
 南1丁目2区町内会で、交付金が収入として計上されている同一の会計から神社支援金が支出されていることは、地域振興交付金交付要綱に違反して公金が宗教活動に使われたと推認でき、憲法20条及び89条に抵触すると疑念を抱くことは当然。公金を支出している以上、市民に疑念を抱かせないよう、使途を明確にする必要がある。
 幸手市長は、地域振興交付金の交付団体に対して、交付金の使途が明確に分かる会計処理を行うよう指導すること。また、宗教関係に支出しないよう指導すること。平成25年8月1日までに必要な措置を講ずること。
 他の行政区の調査を行い、結果の報告を求める。


公金なくも違憲
 自治会費の徴収と神社への支出に関しては、佐賀地裁が「神社は宗教法人で宗教性がある。特定宗教団体費への支出は自治会活動と区別し、氏子集団等の組織ですべきだ」と違憲判決。(2002年4月12日)


地域住民=氏子か
 神社は「神祇を奉斎し、祭祀を行い、祭神の神徳を広め、以って皇運の隆昌と氏子・崇敬者の繁栄を祈念することを本職とする」(神社本庁憲章)もので、宗教法人登録されている。その維持は氏子と崇敬者(両者とも神社に名簿登録される)によってなされる。
 従って、神社が氏子区域を設定するのは自由だが、その区域内の住民全てを氏子と扱うのは誤りで、神社側の意図的な誤解、伝統と歴史に根ざした地域コミュニティへの便乗がある。これが各地で問題を生じさせている理由ではないか。 


大事な「自由・分離」
 神社の氏子活動を町内会が肩代わりするような実態は、いまだに全国で見られるようだ。
代々住み続けてきた住民の力が、多くの分野で協働を生み、地域コミュニティ形成に貢献していることも事実としてある。が、その根源が「氏神様を崇める思い」なのだろうか?
かつての農村社会とは違い、住民の流入・移動も多く、価値観が多様化している。町内会を通して神社を強制するのではなく、「信教の自由」「政教分離」を尊重する地域社会でありたい。


地域振興交付金が消えた!? 使途疑惑
 市の地域振興交付金を数年間にわたり町内会会計に入れず使途不明
町内会費から神社支援金を支出し、神社の行事を担い会員に“強制”


 幸手市は、監査委員の指摘を受け、区長会の役員会と総会で説明し、@宗教関係への支出をしないことA交付金の使途を明確にすること――を強く要請した。
 しかし、2008年に始まった区長制と地域振興交付金の実施状況は、公金の取り扱いに対する認識の甘さ・欠如がうかがわれる。交付金交付要綱が徹底されず、交付金の事業・決算報告を一度も徴収していないし、神社支援金の支出など町内会・自治会の事業や会計の実態も把握していなかった。

区長 市内100行政区の区長を市長が委嘱。業務は@広報さって・各種印刷物の配布や回覧A市に対する要望の取りまとめB募金への協力C各種委員の推薦D地区内の工事などの連絡調整。複数の町内会・自治会がある場合、行政区から分担金として交付。均等割・世帯割の年額報酬がある。
地域振興交付金 行政区に対する市の交付金で、行政区が事業計画を提出して交付されるが、世帯当たり700円が基準。年間総額は約1,300万円。


町内会の会計に入らずルーズだった
公金の扱い会則違反の区長手当

 しかし、奇妙なことに、同年決算で、町内会の会則には区長手当の定めがないのに、交付金と同額が区長に支給されている。「体育祭に使った」は、監査委員への説明用だった可能性が高い。
事実、一部の自治会には「交付金の使途が明確なら、神社への支出は問題ない」と言う意識が残っており、表向きの理由があれば「役所的にはOK」と認識されている。
 一方、2区町内会の意思決定は、役員と班長の20人ほどで開く総会で行われ、会員の意見はほとんど届かないのが実態。会則違反も簡単に承認されてしまうのか。
また、2区町内会の2009、2010年度会計には、交付金の計上がない。交付金要綱実施当初から計上なしと推測できる。 市は、消えた交付金を要綱9条に基づき調査して、不正があれば返還を求めるべきである。
 自治会は、地縁による団体(自治法260条2)であり、「良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的」とされている。市長には、本来の「自治会のあり方の徹底が期待される」。

住民監査請求の住民に聞く  
平成22年から幸手市に住む60歳代後半の男性に聞いた。


きっかけは何だったのですか?
神社の清掃の回覧板が回ってきたことで(班別の清掃日程)、町内会費から神社への負担金・協力金が支出され、自治会活動に宗教活動が入っていたことです。

町内会長などと話し合いされたそうですが…
町内会員全員を、氏子扱いしていることに、何の疑問もなかったですね。新憲法制定から70年近いと言うのに…。

神社の宮司とも話し合われたようですが。
宮司は「町内会は任意団体だから何をしてもいいんだ」と主張して、神社が決めた氏子エリア内の、町会員全員を氏子扱いして、神社本庁憲章での「氏子」と佐賀地裁判決を完全無視しました。

監査請求の前、市に相談されたようすが、対応はどうでしたか。
「自治会=地縁による団体」にあっての、信教の自由を守る・本来の自治会のあり方への努力をされ始めたようです。

監査結果について一言。
市長には、政教分離した町内会会計への交付金の交付、信教の自由を守る「地縁団体」の確立・徹底を急ぐことを期待しています。
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